私たちの行動は、意識的な行動もあれば、無意識の行動もあります。
自分を正しく理解するためには、外に露出した具体的な自分の行動を理解することが必要です。
行動を理解するためには意識的、無意識的に関わらず行動をしっかり観察して、客観的な立場で、行動を把握して、はっきりと評価ができるような形で、図式化することが重要なのです。
自分を知るために、自分の行動をP(親の心)、A(大人の心)、C(子どもの心)の三つの自我を数値化して図表に描くことが必要です。これを自我像の図式化(エゴグラム)とよびます。TA(交流分析)ではP(親の心)、A(大人の心)、C(子どもの心)の作成と呼んでいます。
外界に露出した自分の行動をP(親の心)、A(大人の心)、C(子どもの心)、三つの心を使って分析した結果を、数値化し、さらに図表化して描く自我像です。この自我像によって、自分の思い込みとは違う「現実の自分」を浮き彫りにするので、いま現在の自分がどんな自分なのか知ることができます。
なりたい自分に近ずくために、自分をどのように変えていけばいいのか、その具体的な方法と手順を策定するための有効な資料として活用できるので自己改造に役立てることが可能になります。
ともすれば観念的に理解した状態で、「変わりたい」「変わらなければ」と焦りだけが先走りますが、それでは期待する結果を得ることは困難なばかりか、逆効果に陥ります。大事なことは考えではなく日常の行動を変えることです。感情はコントロールできませんが、行動はコントロールできるのです。つまり行動で自分に変革を起こしていくのが早道なのです。
その処方箋を作るためのツールが「エゴグラム」です。
エゴグラムは部下を持つマネジャーにとって、部下を正しく育成する上で、有効なツールになります。そもそも人が人をイメージする場合、実際の「その人」と違うイメージを持つ場合がすくなくありません。自分の置かれた状態に合わせて、高く評価してみたり、過小評価してみたりしているのです。自分の片腕となる人が欲しいときには、過大評価する傾向にあります。寂しい時に現れた異性にも同じことが言えます。反対に満たされていると過小評価に変わるのです。実際に等身大で見るのは難しいのが現実です。エゴグラムはこのような間違いを正し客観的に見直す上でも貴重な資料になります。
反面、エゴグラムから得た分析から欠点を指摘し「いじめ」に使うような悪質なマネジャーには好ましくないものになりますので、使い方には厳重な注意が必要です。本来、人を育てる、育てなおすための貴重な資料であることをしっかり受け止めて間違った使い方は謹んでください。
自我像を図式化(エゴグラム)するときに、自分のことなので、ためらいや、書きにくいと感じる場合が少なくありません。そこで以下の設問に答えて図式化するようにしてください。回答する際には、自分の思う自我像と他者に見られている自己とを比較して類似点、相違点をあきらかにして自己評価をするようにしてください。この自己評価は自己改造のために必要な措置のひとつとなります。
記入の仕方
- まず分析対象者(当該本人)の氏名を記入してください。
- 後日、再度分析した時に比較できるように作成年月日を記入してください。
- 厳格な父、保護的な母の心など5項目の設問に答えてください。普通と思う場合の基準を50としてもっとも適切と思われる数値を直感で判断して、その数値を棒グラフの高低で示してください。
- 考え過ぎずに直感で記入することが大切です。
まず厳格な父親(P)に関する質問です。
次の設問に目をとおして自問自答し、自分の内にある父性的なPの強弱を判断してください。
- あなたはダメ、かならず・・・・すべきである。あるいは・・・・しなさい。と断定的な言葉をよく使いますか。
- あなたは、子どもや部下がまちがったことをしたときすぐ叱りますか。
- あなたは議論することが好きですか。
- あなたは責任感が強いほうですか。
- あなたは自分の考えにこだわるほうですか。
- あなたは格言やことわざが好きですか。
- あなたは時間の約束の遵守にうるさいですか。
- あなたはおカネの使いかたがシビアですか。
- あなたは礼儀、作法にうるさいですか。
- あなたは他者に忠告する機会ことが多いですか。
母性的なPを記入する場合の設問です。
次の設問に目をとおして自問自答し、自分の内にある母性的なPの強弱を判断してください。
- あなたは、自分の周囲の人、部下、子どもをかわいがりますか
- あなたは他者に頼まれるとたのまれたことすすんでしますか、
- あなたはゴルフ、テニスなどをプレイしている場合、相手のミスに同情しますか
- あなたは道を聞かれたとき、親切におしえますか。
- あなたは子どもの勉強の面倒をよくみるほうですか。
- あなたは他の失敗をひややかに見ています、同情しますか。
- あなたは周囲の人びとをよくほめますか。
- あなたはグループの世話をするのが好きですか。
- あなたは寄付することに意義を感じますか。
- あなたは人に奢ることが好きですか。
大人の心を記入する場合に、自分のAの強弱を判断してください。
次の設問に目をとおして自問自答し、自分の内にある社会人として暮らす大人の心であるAの強弱を判断してください。
- あなたは栄養を考えて食事をとりますか。
- あなたはお金の計算に強いほうですか。
- あなたはけんかして感情的になってカッとなりますか。
- あなたは研究、観察などすることが好きですか。
- あなたはポーカーフェイスをすることが得意ですか。
- あなたは書類をよく見てから決裁しますか。
- あなたはなにかしようとするとき、まず利害を考えますか。
- あなたは計画的に仕事を進めますか。
- あなたはニュースや新聞の政治や経済面に強い関心がありますか。
- あなたは好きな男性(女性)に誘われたらデートしますか。
自由なC(子どもの心)を記入する場合、自由なCの強弱を判断して答えてください。
次の設問に目をとおして自問自答し、自分の内にある無邪気な子どもの心であるC
の強弱を判断してください。
- あなたはうれしいとき、悲しいときに、顔の表情や動作にすぐ出しますか
- あなたは性的感情を自由にだしますか、かくしますか。
- あなたはどんな場所でも自分のいいたいことがいえますか。
- あなたは車でスピードを出したとき「気持よい」とか「怖い」という感情を声に出しますか
- あなたは大勢の人前で歌ったろ話したりするのが好きですか。
- あなたは、カッとなって怒ると周囲が見えなくなりますか。
- あなたは、おしゃれが好きですか。
- あなたは見なれない食べものでもすぐ食べますか。
- あなたは人に冗談をいったり、いたずらをするのが好きですか。
- あなたは空に浮かぶ雲を見てなにか想像することが好きですか。
順応したC(子どもの心)を記入する場合、設問に対して自分の順応したCの強弱を判断して答えてください。
次の設問に目をとおして自問自答し、自分の内にある従順な子どもの心であるC
の強弱を判断してください。
- あなたは他者から強制されたとき、気持よくしたがってしまいますか。
- あなたは自分の主張ができないので、他者の意見にすぐしたがってしまいますか。
- あなたは人から頼まれたらいやとはいえませんか。
- あなたは、自分の考えや意見をもっていますか。
- あちらこちらで、噂されていると気になりますか。
- あなたは他者に相談しないで行動を起こせますか。
- あなたは親や先輩、同僚からの忠告にすすんで従いますか。
- あなたは他者の顔色をみて、行動をとるようなことがありますか。
- あなたはけなされても、我慢しますか。
- 自分の気にいらないことを気にいらないといえますか。
私たちは、自分が考える自分(内観)と他者が考える自分(外観)に分かれます。
例えば自分が考える父親というのは外観です。父親でなくて母親、上司、子どもでも同じです。
内観とは内省、自己観察とも言いますが、ライフスキルでいう自己認識スキルに該当します。心理学では、自分の意識やその状態を自ら客観的に観察することを意味します。また自分の心または精神を支配している法則を見出すため観察するプロセス全般のことをいいます。決して自分を批判するのが目的ではないので、自分を見つめる時、批判的な態度でしか自分を見れないとしたら内観が浅いと考えられます。もっと俯瞰するように見ることで内観は深くなっていき、本当の自分を知ることができるようになります。
では、図表を仕上げてください。
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