22歳になる女性がある男と恋愛関係になりました。
ひとり娘を女手ひとつで育てた母親は心配で女性の友人に電話をかけて様子を探る。
そうする内に、母親の知らない娘像がぼんやり見えて来た。
女性の友人は口を揃えて「真面目な娘(こ)」と言う。
母親は安心する一方で、最近の動向に、なにか違うと感じる。
母娘ふたりの家庭。それなりにコミュニケーションは十分とれていると想像していた。
誰にも言わずに男性との関係が多かった。
「一生懸命、育てたはずなのに失敗した。」
女でひとつで育てた自負があった。その自負が崩れた。
男女とも同性の仲間と行動を共にします。家庭とは別に心の拠り所を同性の友だちに求め、仲間が自然形成され、自分たちだけに通じる言葉を使い、共通のアイドルを作り、親に聞けないセックスの悩みや家庭の秘密を分け合います。
自分の人生のある場所づくりのスタートです。
しかし親子の関係が密接でありすぎて、子どもが必要以上に「良い子」でいようとすると、本当の自分を主体的に生き始めることに失敗します。
この女性の場合、男性遍歴は、主体性の獲得に失敗した結果なのです。
いつも女手ひとつで育ててくれた母親への感謝が重荷になり、言葉や行動が気になって、嘘をつきたくてもつけず、何も言えない状態が22歳まで続いてきたのです。
おそらく思春期に同性と仲間になって内面性を獲得するようにした方が安全で傷もつかなかったでしょう。
それが22歳で付き合った男性は、彼女とのセックス目当てだったのです。引っ張り回し深夜まで離さない毎日。遅すぎた思春期の試みは、妊娠、堕胎という結果になりました。
彼女が深夜まで帰宅しないのは、秘密を守り通せなかったからです。
「私をわかってほしい」というメッセージを子どもが出す時、きちんと聞いてやれる親になるために、社会の目と同じくしない繊細さが親には必要なのです。
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